真剣。





俺のコイビトは可愛い奴。
からかうと楽しい。

「昌一、なに真剣に読んでんの?」
ベッドに背をもたれかけ雑誌を読んでいると、ベッドに寝転がっていた圭が後ろから覗き込んで来た。
「ん〜?エロ本」
からかって答える。実際はゲーム雑誌だけど。
すると圭は僅かの間の後、
「……。…ふぅん。面白い?」
なんだよ、それだけー…?
もっと過剰な反応を期待していたのに。
つっこめよ!
「貧乳ばっかでつまんない」
これでどうだっ。
「……。…そりゃあ残念だなぁ」
「一言だけー?リアクション薄いー」
俺はちょっとムッとしながら、すぐ横にある圭の顔を睨む。
圭は俺のことをちらりとも見ず、雑誌のページを興味深げに見つめている。
俺の返答なんて左から抜けてったみたいに。
…つまんない。
俺は圭が読んでいるのにも構わず、わざとページをめくってやった。
「あ。今読んでたのに…」
途端に不服そうな顔がこちらを向く。
「俺は読み終ったの」
「つまんないんだったら、見せてよ。俺の“本物”のエロ本貸してやるからさ」
うわっ。イヤミったらしい!
「結構です。自分で買いますー」
口をとがらせると、圭はニヤリと口元を歪めた。
お前に買えるのかよ、とでも言いたげに。
むかっ!
だったら買ってきてやろうじゃんか!
「アレ?どこ行くんだよ?」
「コンビニッ!」










「…ただいまー…」
遅いなと思い始めた頃、ようやく昌一が戻ってきた。
出て行ってからほぼ1時間が経っている。
一体、どこのコンビニまで行ってきたんだか…。
「おかえり。遅かったな…ぉわっ!なななに!?」
体を起こそうと上半身を上げたところへ、いきなり昌一が飛びついてきた。俺は再びベッドに倒れ込む。
「ねぇ!俺ってそんなに童顔?」
「……ぇ?」
今にも泣きそうな顔で覗き込まれ、ついドキッとしてしまう。
いや…、そんな真剣な目で見つめないでくれよ…。
「…何?なんかあったの…?」
「…『中学生だろ』って言われた」
あー…なるほど。
「4ヶ所行って、4ヶ所とも止められた…」
…そんなに行ったのか!?
どおりで遅いわけだ…。
「…で、買えなかったわけか。エロ本」
俺の問いにこくりと頷く昌一。
予想をしていたこととは言え、実際落ち込む昌一を見ると罪悪感がつのる。
挑発するんじゃなかったな…。
「…なんで、圭は買えんの?悔しい。ズルイ!」
そんなこと言われても…。
「…」
俺が何も言えずに黙っていると、しばらくして昌一は「あ!」となにか思いついたような声を出した。
「圭は老けてるんだな。きっと」

・・・・ん?

「…おいコラ、待て。老けてるとはなんだ、老けてるとは!」
「だってそーゆうことだろ?」
可愛くない奴!
「大人っぽいと言え。大人っぽいと!」
「え?粉っぽい?もう肌荒れてるの?」
「はっ!?」
「大変だねー」
「わけわからんって!」


立ち直りが早いのは良いが、タチの悪い奴め…。






2004,11,09


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