暗号。 えぇっとー、これはなんでしょうねぇー…。日本語?宇宙語?火星語? いや、ただ単に嫌がらせか? なんにせよ……わからねぇ。 何を言いたいんだ、アイツは。 俺は、かれこれ5分程携帯電話を睨み続けている。 液晶画面には理解不能な謎の文。 『いうすとれぞコエ』 送信相手は昌一。 俺の幼馴染み。 もう10年以上の付き合いになるが、未だに理解できないアイツの行動。むしろ、頭ん中。 はっきり言おう。 アイツは、変だ。 個性的と言えば聞えは良いが、アイツの頭はおかしい。と俺は思う。 突然ワケのわからん言葉を言ってきたり、踊り出したりする。 理解不能。予測不能。 いっぺん、アイツの脳みそん中を覗いてみたいもんだ。 ちなみに趣味はチュッパチャップスを舐めること、らしい。 「はあ?そりゃ、好きなもんだろ」 と突っ込んだら、 「違うって。チュッパチャップスはそれほど好きなわけじゃない。チュッパチャップスだけで生きてけって言われたら無理だし。だから、趣味。ほら、煙草と一緒だって」 だと。 俺にはよくわからない…。 アイツはそういうワケのわからない奴なのだ。 『ワケわからん』 とりあえず返信。 いくら考えてもわかるわけがない。 まったく暇人め。 俺はそんなに暇じゃねーつの。 数分後、再び携帯が振動した。 さすが暇人、返事が早い。 なになに。 『クイズ〜。ヒントは俺の名前☆』 「はぁ?クイズ?」 思わず声を出してしまい、慌てる。 周りからの白い目が痛い。 いけねぇいけねぇ、ここは図書室だ。 …まったく、昌一も性格が悪い。教えてくんねーのかよ。 しかも、なんだこの☆はっ! ……ヒント、名前? 武井昌一。たけいしょういち。 ……。 わからんって! 『降参。答えは?』 なんとなく悔しいが…いや、カナリ悔しいが、考えるのも面倒だ。 いちいち付き合ってられるか。 『ちゃんと考えろよ〜(* ̄σ ̄)1だよ、1!』 …明らかに馬鹿にしてるなコノ顔文字。 畜生、やってやろうじゃねーかっ! 鞄の中からいらないプリントを取り出し、謎の文字を書いていく。 【いうすとれぞコエ】 ……1…? ……1個飛ばして読むとか? 【いすれコ】 ……は? 【うとぞエ】 …いやいや、全然違うだろ。 つか、この最後のカタカナはなんなんだよ。 ん〜…。 書いた文字を睨み付ける。くそ、悔しい。 ……あ、1個ずつずらす、とか。 後ろに1個… 【うえせたろざカオ】 なんだこりゃ…。ますますわかんねぇよ。 【あいしてるぜケウ】 あ。 …あぁ!コレか!わかった! 思わずバチンと机を叩いた。…いてぇ。 …アイツめ、凝ったことしやがって。 てか… 『阿呆。俺の名前は圭だろがっ。ケイ!』 『あれ?ケウじゃなかったっけ?』 ムカッ。 『素直に間違えたって言えよ!』 『素直に嬉しいって言えよ〜』 なっ…! …コイツ。俺をからかって遊んでやがるな…。 『ふざけるな』 『 』 ん?アレ?…白いぞ? …いや、無駄にスペースが空いている。 下へとボタンを押し続けるが、一向に文字が出てこない。 なんなんだよ。 『愛してるよ』 「…!!」 突然現れた文字に、思わず固まる。 …ん?まだ続きがあるようだ。 さらにボタンを押していくと 『嬉しいんだろ?』 ……。 …畜生。 「…おい、圭。なにニヤついてんだよ…。」 「え。…あ、別に。」 「キモイぞ…。」 「うるせぇ。」 手早くボタンを操作し、送信する。 『…えろすう。』 もう10年以上の付き合いになるが、未だに理解できないアイツの行動。むしろ、頭ん中。 はっきり言って変な奴。 だけど そんなアイツが好きな俺も十分変なのかもしれない。 |
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